2023.2.17
船橋ジョッキーズレポート
vol.5
スペシャルコンテンツ
- 細江
-
なるほど。
減量といえば、船橋にも若手が所属されていますけど、前・騎手会会長を務めた左海騎手はどのように統率されていたんですか?
- 左海騎手
-
今は、正太郎(川島正太郎騎手)が会長してますけど、俺が会長の時は何人かに始末書を書かせたことはあります(笑)
- 細江
-
えぇー!
- 山口騎手
-
何人かいるね。
- 左海騎手
-
何人かに始末書は書かせたことはあるけど、怒鳴りつけたりっていうことはなかったですよ。
こういうご時世ですしね。
- 細江
-
若手に厳しくするって難しくないですか?
- 左海騎手
-
パワハラって言われたら怖い(笑)
- 細江
-
そうですよね。
- 左海騎手
-
でも、本当に悪いことやったら本気で怒りますよ。
- 細江
-
時には本気で怒ることも大事ですね。
- 左海騎手
-
慕ってきてくれると“この子かわいいな”と思うんですけど。
昔はそうだったんですけどね。
先輩に、「ちょっとご飯に連れて行って下さいよ」とか言えましたからね。
今はそういうのが無いですもん。
- 細江
-
確かにないかも。
- 左海騎手
-
最初は戸惑いましたけど、時代が変わったのでこういうものかなっていう風に捉えています。
- 細江
-
山口さんはどうですか?
- 山口騎手
-
僕も慕ってきてくれたら可愛がりますけど、そういう子は少ないですよね。
- 左海騎手
-
何をやっても自分で責任が取れるなら何やっても問題ないと思いますよ。
- 山口騎手
-
そのために会長がいるから。
- 細江
-
若いジョッキーの技術面はどう見てますか?
- 左海騎手
-
この子うまいなって思った子たちもいましたけど、デビューしたばかりだと危なっかしい乗り方するのは仕方ないかなと思います。
落ちて怖さっていうのを自分の体で覚えちゃうから。
とにかく大ケガしないでほしいだけですよね。
- 細江
-
競馬は危険と隣り合わせです。ケガすることもありますけど、そのあたりはどうやって向き合っていますか?
- 左海騎手
-
僕は結構大きなケガをしてきましたけど、そんな時は何も考えなかったですよ。
動けるケガの時は実家に帰ってました。
- 細江
-
なるほど。
実家(長崎県)に帰ってリフレッシュですね。
- 左海騎手
-
サプライズで何も言わずに帰るんです。
家族で帰って、びっくりさせようみたいな。
でも、2回3回そんなことしていたら、ケガしたら兄貴が「誠二帰ってくるぞって」言ってたらしいです。
- 一同
-
(笑)
- 左海騎手
-
サプライズでも何でもなくて、ただいまって何にも連絡せずに帰ったら、「ほらな、来ただろ」なんて感じでしたね。
- 細江
-
そっかそっか。
- 左海騎手
-
とにかくケガしても焦らないことですね。
どんどん積み重ねていくうちにそう思うようになりました。
- 細江
-
山口騎手はどうですか?
- 山口騎手
-
僕はそもそも何も考えてませんね。
- 細江
-
いやだ~(笑)
- 山口騎手
-
そういえば集中治療室入ってたな。
- 細江
-
え!?集中治療室入ったことも?
- 左海騎手
-
浦和の時、3コーナーで前の馬が落馬して、僕がその内側で突っ込んで落馬せずに済んだところをタツが落ちちゃったんですよ。
- 山口騎手
-
肺に穴が空いて肝臓手術して、あばらを4本くらい折ったかな。
- 細江
-
全然知らなかったです。
- 左海騎手
-
しかも普通にしてるんですよ。
- 山口騎手
-
ちょっと痛かったけど、“あばらいってますわ~”くらいの感じで。
自分で歩いて救急車まで移動しました。
- 細江
-
嘘でしょ??
そこから集中治療室なの?
- 山口騎手
-
近くの病院でカテーテル手術して、血が溜まっちゃってるから切って空気抜いて。
それから10日間くらいベッドから動けなかったです。
水も飲ませてもらえなかったし、点滴だけでしたね。
- 細江
-
そんな状況でどうやって感情をコントロールしたんですか?
- 山口騎手
-
いや、特になくて。少し痛いなってくらいですね。
あとは水飲みたいのといつ退院できるかなとか。
手術終わって個室に移ってから誠二さんがお見舞い来てくれたんですよ。
- 左海騎手
-
おい、手術の日も行ったわ!
- 一同
-
(笑)
- 山口騎手
-
夜中の1時くらいまで手術してたみたい。
- 左海騎手
-
ちょっと痛がってたから、あばらが折れてるんだろうなぁと思ってました。
浦和から帰る途中に奥さんに電話して「大丈夫だと思うよ、話できてたから」って言ったんですけど、船橋に着くあたりで奥さんから電話がかかってきて「今すぐ病院に来てください」って言われたらしくて。
それで僕が奥さんを乗せて一緒に病院まで行きました。
着いてみたら大ごとですよ。
- 山口騎手
-
御神本さん(御神本訓史騎手)が先に運ばれていて。
- 左海騎手
-
御神本騎手がすごい痛がっていたんですけど打撲で済んだみたいで、こっちは普通に会話していたけど今から手術みたいな(笑)
- 山口騎手
-
先に俺じゃね?って思ったけどね(笑)
- 左海騎手
-
うんうん。御神本騎手のほうが先でしばらく置かれていたらしい。
- 細江
-
(御神本騎手は)痛い、痛いって言ってたんですよね。
- 左海騎手
-
そしたら御神本騎手は確か入院せずに帰ったんだよな~
- 細江
-
そうなの!?
- 山口騎手
-
一日泊まったかも。
- 左海騎手
-
帰ったような気がしたぞ。
- 山口騎手
-
もうケガしたのは仕方ないんで、命があっただけ良かったかなって思うくらいですね。
- 細江
-
なんだか御神本騎手のカッコ悪い話に…。
さて、話を戻します。人生で一番辛かった出来事って何ですか?
- 山口騎手
-
何かな…。デビューしてすぐは馬に乗れなかったことですかね。
- 細江
-
騎手免許を持っていてもレースで乗れないって辛いですね。
- 山口騎手
-
つまらないし辞めちゃおうかなって思った時期はいっぱいありますよ。
- 細江
-
そんな時に左海騎手と出会って。
- 山口騎手
-
そうですね。続けていくきっかけを作ってくれましたね。
- 細江
-
そして林先生の存在も大きく影響したわけですね。
- 左海騎手
-
二人とも本当に頭が上がらない存在ですけど、それなのに気さくに接してくれるんです。
- 細江
-
なるほどね。
左海騎手も山口騎手は尊敬する人も一緒で仲良しで素晴らしい関係ですね。
最近、どこか出かけたなんてことはありますか?
- 左海騎手
-
この間、焼き蛤を食べに行ったよな?
- 山口騎手
-
九十九里まで。
- 左海騎手
-
嫁が“蛤食べたいなぁ。電話してみなよ”なんて言うから、タツに電話して“行くか?”っ聞いて。
- 細江
-
行きますって?
- 左海騎手
-
そうそう。いつも計画性ないんだよな。
急にこっちが誘うから、(山口騎手は)迷惑ですよね(笑)
家でご飯の用意してたりとかしたら、普通に困りますよね。
- 山口騎手
-
あまり考えたこともないです。
- 左海騎手
-
断られることがほとんどないですよ。
- 山口騎手
-
用事があれば別ですけど、何もなければ家族と家にいるので。
- 細江
-
家の中でも静かなんですか?
- 山口騎手
-
あまり喋らないですね。
- 細江
-
そうなんだ~(笑)奥さんやお子さんとも?
- 山口騎手
-
子供とは少し遊びますけど、自分が怒ったら完全無視ですね。
人と喋りたくないんで。
- 細江
-
なるほど。
- 山口騎手
-
それを(奥さんに)怒られますね。
- 細江
-
「言ってくれないとわからないじゃない」って?
- 山口騎手
-
そうそう。
「聞いてんの?」とか言われても、それでも無視します。
- 細江
-
やだぁ~。
- 左海騎手
-
俺の若いころそっくり。
- 一同
-
(笑)