2023.6.9
船橋ジョッキーズレポート
vol.9
スペシャルコンテンツ
- 細江
-
これまでの対談で出てこなかった情報ですよ。
でもゆくゆくは自分たちが先輩になって音楽を選ぶようになるわけですよね?
- 山中騎手
-
鴨ちゃん(鴨宮祥行騎手)がやってましたね。
- 細江
-
イケメン、園田の鴨ちゃんですね。
学校時代といえば山中騎手は怪我をされたことがありましたよね?
- 山中騎手
-
はい、怪我しました。
- 細江
-
疲労骨折?
- 山中騎手
-
馬場馬術の踏歩変換の馴致をしていたらそのまま折れました。
- 細江
-
え?どういうこと?
- 山中騎手
-
腰痛持ちだったんですけど、フライングチェンジ(踏歩変換)の練習していたら。
- 細江
-
フライングチェンジ?実は私、乗馬のこと全く知らなくて。
- 山中騎手
-
競馬でいう手前変えることを馬場馬術でそのままその場でやらせるみたいな。
- 細江
-
なるほど。で?
- 山中騎手
-
その馴致みたいなことをしていたんです。
それで剝離骨折みたいな。
- 細江
-
その時に“痛いっ”ってなった?
- 山中騎手
-
いや、痛いではなくて感覚がなくなりました。
その時はアドレナリン出ているから大丈夫なんですけど、馬から下りる時に力が入らなくて下りられないみたいな感じです。1ヶ月くらい休みました。
- 細江
-
でも、ドクターストップは3ヶ月だったけどそれを1ヶ月で?
- 山中騎手
-
3ヶ月休んだら留年って言われたんで、1ヶ月で復帰しました!
- 細江
-
えー?大丈夫だったの?
- 山中騎手
-
大丈夫です。
- 細江
-
根性だぁ~。では、山本騎手お願いします!
- 山本騎手
-
学校の思い出はさっきの話で朝の音楽です。先に言われちゃいました。
- 細江
-
それってみんな嫌だって言うんですか?
- 山中騎手
-
嫌がる人は多いと思います。
- 山本騎手
-
しかも中学生、高校生って早起きそんなに得意じゃないじゃないですか。
西野カナの”会いたくて会いたくて”とか流れるんですよ。
- 細江
-
朝からそれー?(笑)
- 山中騎手
-
ホームシックな上に。
- 山本騎手
-
余計に会いたくなっちゃいます(笑)
- 細江
-
おもしろすぎる。ではそれ以外の思い出をお願いします。
- 山本騎手
-
なんだろう…。あっ、やっぱり外出ですかね。
“半額パン”を買いに行ってました。
- 細江
-
半額パン!?外出は1週間に1回でした?
- 山本騎手
-
2週間に1回でした。
- 細江
-
教養センターから街に出るまでは結構距離があるんですか?
- 山本騎手
-
はい。でも僕らの時は自転車があったので。
- 田中騎手
-
あ、そうなの?俺らはバスだったよ(笑)
スーパーの”とりせん”はもうないんでしょ?
どこが安いか、すっごい回ってたなぁ。
- 山本騎手
-
”とりせん”は無かったですね。
だから色んなお店に行って一番安いお店を見つけて“半額パン”を買ったりしてました。
- 細江
-
さっきから話に出ているその半額パンって何?
- 田中騎手
-
たぶん、賞味期限ギリギリのパン…。
- 細江
-
そういうことね(笑)
そっか、家からの仕送りではなくて、学校からのお小遣い制だったんだね?
- 山中騎手
-
仕送りはだめなんですよ。お小遣いとして2,500円貰うんですけど1,000円は昼食代で、寮に持って帰って良い分が1,500円までです。
- 細江
-
買い物だけじゃなくて、金額の規定まであったんだ!
- 山中騎手
-
レシートとお釣りをちゃんと照らし合わせるんです。
- 細江
-
えっ?厳しいですね(笑)
2,500円持ってバスに乗って…。
- 山中騎手
-
僕らは自転車でしたけど、結構山の上なのでそこから街に向かって坂を下っていくんです。
- 細江
-
行きは良いけど帰りは…。
- 山中騎手
-
坊主頭の男子が必死に(笑)
- 細江
-
みんな食べ物しか買わないでしょ?
- 山中騎手
-
というより食べ物しか持って帰っちゃダメでした。2週間分のおやつとか嗜好品を買ってましたね。
9時10時くらいから15時くらいまで時間をもらって。
- 細江
-
じゃあ出発前に何を食べようとか買おうとか決めて、それを思いながら自転車で下がって行くわけだ。その一つが…。
- 山本騎手
-
半額パン(笑)
質より量なんです!
- 細江
-
なるほどね。それで田中騎手が言ってたように、色んなお店に行くのは買いたいものっていうより、安い物を比較してってことなんですね。もう主婦の思考!
- 山中騎手
-
でも持って帰ったおやつがロッカーに入りきらないと没収されちゃうんです。
- 細江
-
そうすると大きめのスナック菓子とか嵩張るものはダメでしょ(笑)
- 山本騎手
-
そこも考えて、袋が大きい時は破っていかに細かくして詰められるか。
- 田中騎手
-
今はどうか分かりませんけど。
- 山中騎手
-
あと、JRAは携帯とか使えますよね?僕らの時は一切使えなかったですもん。
- 細江
-
電話は公衆電話?
- 山中騎手
-
公衆電話ですね。テレホンカードを家から送ってもらって、それを使ってました。
しっかりテレホンカードを使ったのは初めてだったかも。
- 細江
-
別世界だったんですね。それでも楽しかったって言えるのが素敵!
それでは続いての話題へいきましょう。ジョッキーになってからのお話ですが、騎手の仕事はデビュー前に思い描いていたものと変わりないですか?
- 山本騎手
-
こんなにキツイとは思いませんでした。
動物相手なので休みがどうしても少なくなっちゃうし、それで朝も早いですし、こんなに過酷だとは思ってなかったですね。
- 山中騎手
-
JRAの若い中堅くらいのジョッキーはどれくらい攻め馬をしているんですか?
- 細江
-
私たちの時代と今は違うと思いますけど、たぶん今は週末に乗らない人もいるし、中堅のジョッキーで水曜と木曜で一日平均4~5頭なんじゃないかな?もちろん人によってですけどね。
でも、ベテランの中でも典さん(横山典弘騎手)のようにきっちり火曜日から調教っていう方もいます。
ちなみに1週間のうちお休みはどれくらい?
- 山中騎手
-
週に1日じゃないですかね。
- 山本騎手
-
月に3,4日です。
- 細江
-
そうすると土曜日の調教を終えた後にようやく休めるんですね。
- 田中騎手
-
そうなんですけど、地方は他場も使えちゃうんで確実ではないです。
- 山中騎手
-
自分の調教している馬が次の週に走る場合は、日曜日も乗らなきゃいけないです。
金曜に追い切りで土曜日休んで、日・月曜に乗って火曜に競馬とかも。
- 細江
-
決まってはいないんですね。それは大変だわ~。
しかも、競馬に自分が騎乗できればモチベーションも高く保てるけど、そうじゃないとね。
私もずっとそうだったから。
- 山本騎手
-
つらいです。
- 細江
-
わかる~。私もそうでした。だからこそ1つの勝利がすごく大きい。辛いことも忘れられる瞬間みたいな?
- 山中騎手
-
そうですね!それはジョッキーにしか味わうことが出来ないことだと思います。
- 細江
-
そんな中で手にした今までの勝利の中で印象に残っているレースや馬との出会いは?
- 山本騎手
-
僕、初騎乗が初勝利だったんです。
- 細江
-
マチコセンセイですよね!まいっちんぐマチコ先生(笑)
レースはどんな展開で?
- 山中騎手
-
逃げたんだっけ?
- 山本騎手
-
2番手だったっような気がします。斤量3キロ減で早く抜け出しちゃったんですけどそれでも押し切れました。
その時は“こんな簡単に勝てるんだ“って錯覚してました。
- 細江
-
そうなんですね。
- 山本騎手
-
でもその後全然勝てない(笑)やっぱり甘くないです。
- 細江
-
もう一つ、山本騎手といえば2018年に通算100勝を達成しました。
- 山本騎手
-
何で勝ったかも覚えてないですし思い出もあまり(笑)
- 細江
-
あと、お話しづらいかもしれませんけど…
- 山本騎手
-
怪我ですか?
- 細江
-
当時のことや復帰するまでの道のりとか大変だったでしょ?
- 山本騎手
-
怪我した時にプロテクターを借りたんですよ。
- 山中騎手
-
笑
- 細江
-
なんで笑ったの?
- 山中騎手
-
今だから笑える話なんですけど、その時に俺のプロテクターを着て落ちたんです。
宙ぶらりんになって蹴られたんですけど、目の前をそのプロテクターが飛んで行くんですよ。
周りはみんな焦っていたんですけど、僕は“俺のプロテクターが飛んでいった!“って(笑)
- 細江
-
そこ!?ちなみに山本騎手は全く覚えてない?
- 山本騎手
-
覚えてないですね。気が付いたら病院でした。
- 細江
-
意識が戻ったのは何日後のこと?
- 山本騎手
-
2日後くらいですね。
ただ、お見舞いに来てくれた人が誰なのかすぐ忘れちゃうくらいの意識で。
お見舞金とか持って来てくれた人にお返ししなきゃいけないじゃないですか。