細江:職人で芸術的なんでしょうね。ところで、みなさん30代、40代ですが、石崎さんは60歳を超えても現役を続けました。皆さんは60歳になっても現役でいられそう?
笠野:俺は無理っす。
川島:俺も。
森:今はみんなそう思ってるじゃん。でも、的場さんも石崎さんも僕らの頃ってそう思ってたと思うんですよ。
細江:あぁ!そうかも!
森:だから、なんで続けられたのかってちょっと興味ある。そんな話したことないけどさ。
本橋:泰斗さんはいけるんじゃないですか(笑)
一同:(爆笑)
森:いやいや(笑)みんなそう言うけどさ、彼らもきっとそう思ってたと思う。でも結果あの年齢までやってるじゃん。
笠野:正直すでに身体しんどくないですか?
森:お前仕事しすぎなんだよ。
細江:調教とかね、ありますものね。
森:そのあたり、ちょっと一回聞いてみたいかな的場さんとかに。的場さんが言うには『辞めたらただのおじさんだから』って。あの人は特別だとしても、どういう気持ちになるか、まだ僕らは想像の及ばないことで、これからその年までやろうと思う人が現れてもおかしくないだろうし。でも、今はみんな(その年齢では)辞めたい(笑)
細江:自分が石崎さんの年齢まで乗っているイメージはありますか?
本橋:僕はないですね。でも、アキラ(張田昂騎手)はずっと乗っていたいって言ってる。
一同:「ああ。うん、言ってる。」「言ってるね。」
森:あいつはほんとに乗るかもね。
本田:うん。
本橋:死ぬまで乗りたいって言ってました。
笠野:健司もずっと乗ってますよ。
細江:岡村騎手ですね。
笠野:あと濱田(笑)
細江:すごいですね。皆さん、仲間のことをよくわかってる。
細江:では、次のお題『今だから話せる若き日の失敗談・苦労話』を語っていただきましょうか。
本田:お酒っすかね(笑)
一同:(爆笑)
細江:そうなの?みんなその失敗、見てきました?
川島:はい(笑)
笠野:ほぼみんなやってますよ。
本田:若い時は毎週3人(本田・本橋・川島)で飲んで・・・。道路で寝るとか。
細江:いやだぁ(笑)
本田:結構ありましたね、昔は。
本橋:酔っぱらって、エレベーターが開いてる時にぶっ倒れて寝ちゃって。マーくんエレベーターの扉に何度も挟まれて、ガチャンガチャンって。
一同:(爆笑)
細江:あはははは!今はもうさすがに?
本田:そうっすね、失敗まではいかないですね。
細江:いやぁ、でも(過去の失敗に対して)そんな風に見えないですけど。本橋さんは?
本橋:僕は・・・まぁ、デビュー当時ですけど矢野先生に反抗してましたね。今思えば失敗ですけど、それがあったからというか、糧にしてます。
細江:そんなにやんちゃだったんですか?
森:孝太は尖ってましたね、怖かったですよ(笑)。朝、僕らが行くと本橋の機嫌を窺いつつ仕事するんです(笑)
本橋:申し訳ないです!
細江:え?どういうこと?
森:なんか、トゲトゲしてるから。挨拶もしてくれないし。
一同:(笑)
森:機嫌が良いと挨拶してくれるんですけど、機嫌が悪いと全然してこないし、僕らが言ってもシカトです(笑)
顔色窺って、“あっ今日は大丈夫な日”だと思ったら、“おはよう!”みたいな。
細江:でも嫌いになるんじゃなくて、見守っているというか。
森:そうですね、こいつ生意気だとはならなかったですね。
川島:あの頃はね、調教乗ってる頭数も多かったから忙しくて。調教を何頭も乗ってる間で厩務員さんとなんかあったりとかで、機嫌が悪くなったりすると、(本橋騎手が)ロッカーをばーん!ってやってたり。
一同:(笑)
細江:今からは想像がつかない。年齢と共に、あと周りのみんなのおかげで?
本橋:そうですね。
笠野:でも、逆にさ、今はみんなのメンタル面の指導役みたいになってるよね。若手を孝太が諭してあげたりとか。良い方向に導いてあげるっていうイメージがある。
細江:そうか、見放さないんですね。優しさですね。では川島さんは?
川島:失敗談・・・僕もお酒が好きなので(笑)。苦労話っていうと、父が偉大な調教師なので、やっぱりそういう目で見られるじゃないですか。良い馬にたくさん乗せていただいていたんですけど、なかなか結果が出せなくて、かなりしんどい思いをしましたね。
細江:それってやっぱり本人にしかわからない。
笠野:そうですね、僕らには絶対わからない。逆に、良い馬に乗ってるなって思う人もいるわけですしね。
細江:うんうん。
川島:良い馬に乗せてもらっていて、期待に応えなきゃいけないけど、自分の不甲斐なさで結果を出せずに。うーん、苦しい思いはしましたね。
ライター・フォトグラファー 阿部典子
2006年から船橋競馬場での取材をスタート。厩舎公式サイトをはじめ、コラムや写真で船橋競馬場の魅力を発信中。カメラ片手にレースや厩舎風景など様々な表情を撮り続けて船橋競馬場歴16年。満を持してお届けします!