2023.3.8

船橋ジョッキーズレポート
vol.6

スペシャルコンテンツ

細江
ここからはジョッキーになってからの話題にまいりましょう。
川島騎手は、デビューしてすぐに重賞を勝利して、さらに今年(2022年)は9月16日の川崎競馬で通算400勝を達成しました。
ここまで振り返ってみていかがですか?
川島騎手
これまで本当に強い馬に乗らせてもらって、沢山勝たせて貰いましたね。
改めて父の偉大さを身に染みて感じてますね。
細江
それは昔も今も変わらず?
川島騎手
昔からですけど今の方が特に感じますよね。
細江
デビュー直後から結果を出していましたけど、どんな事を考えてましたか?
川島騎手
あの頃は良い結果を残せるはずの馬でも取りこぼしたレースがかなり多かったです。 今の自分だったらもっと結果を残せるかなという悔しさはありますよね。
細江
失敗した時はお父様からは何かアドバイスはありましたか?
川島騎手
レースが終わってすぐ怒られる事もありましたけど、終わったことは引きずらない人でしたね。失敗して怒られながらも続けてレースに乗せ続けてくれたのはすごい感謝ですね。
細江
ご自分の中で自分を変えてくれた馬とか、ジョッキーとして成長させてくれた馬といえば?
川島騎手
オープン馬から教わることは多かったです。特に初めて重賞を勝たせてもらったプライドキムですね。馬に教わった感じでレースを勝つことができました。
勝つ時って本当に道が開けるんですよ。
レースだけではなく、調教からもオープン馬から教わることが多くて、オープン馬がいっぱいいた川島正行厩舎では勉強になることが沢山ありましたね。
細江
そのオープン馬の背中にまたがって作り上げていたのが高橋騎手。
川島騎手
そうですね。
細江
私も川島先生にお会いしたかったです。
体重がグッと上がったり、見違えるような仕上げをしてきたり、凄いなって思います。
中央競馬のようにチップやプール、坂路の調教があるわけじゃない中で、どうしてあそこまで作り上げることが出来たんだろうって。
川島騎手
まず転入してきてすぐには乗り始めなかったですね。
細江
8ヶ月とか空けたりしますものね。
高橋騎手
とりあえず“体重を増やす“だよね。
川島騎手
そうですね。とりあえず毛艶の状態とか色々見て、毛艶が悪ければもちろん血液の数値とかも悪いので、餌の栄養が回るまで調教はせずに育てるとか。
細江
牧場ではなく在厩させて育てていたんだ。
川島騎手
だから厩務員さんたちは本当に大変ですよね。
レースに出ていないから馬は元気ですし。
細江
ディープサマーとかもずっと在厩の中で育てたってことなんですね。
川島騎手
そうですね。血液の数値が悪い馬とか、ちょっとガタついてる馬とかはすぐ笹針して、厩舎の餌を摂らせて栄養が回ってくるまでずっとです。
細江
へえ~。どんどん元気になってくるわけでしょ?
川島騎手
状態が良くなって元気になったら、調教師の指示で乗り出すっていう。最初はもちろん軽いメニューからでしたけど。
細江
そういうイズムがあるからこそ、カジノフォンテンを管理する山下貴之調教師など、強い馬作りができているんでしょうね。
川島騎手
調教師としてのやり方は全然違うかもしれませんけど、やはり川島正行厩舎にいた厩務員さんが在籍しているので、その点は大きいと思います。
細江
そこですよね、結局は担当者ですものね。私もそれはすごく感じます。
実際にそういう馬に跨られていかがでしたか?
高橋騎手
馬力が違いますよね。あと背中が悪い馬が良くなったり。
川島騎手
川島正行厩舎の馬作りは、いかに悪い部分を無くしてレースに出せるか、フレッシュな状態でレースに出せるかって言う感じでしたね。
細江
若駒ならともかく色々経験している古馬を再生させるのは大変なことだと思います。
川島騎手
親父の考えで藤沢(元JRA調教師)流に、併せ馬では馬なりでピッタリ合わせて追い切りをするって言う調教がやっぱり良かったんでしょうね。
細江
なるほどね。
川島騎手
中には言う事を聞かないような“無理だよ”っていう馬もいましたけど、それでも父からは“併せろ”って言われてましたね。
細江
“行って来い!”っていう感じ?
川島騎手
鐙(あぶみ)と鐙がぶつかるくらい寄せてゴールまできっちり併せて来いって言うのが親父の馬作りでした。
高橋騎手
あの時、俺たちはよくやってたよね(笑)
川島騎手
ああいう経験ができたからこそ、今も活かされていると思います。
細江
そんな中、デビューして数年後に突然の訃報が飛び込んできました。
お父様がお亡くなりになってしまったわけですが。
川島騎手
いや、癌って分かってからが長かったですから。
細江
そうなんですね。
川島騎手
抗がん剤治療してから医者が驚くほど長く生きることができたんです。
細江
つまり心構えみたいなものはあったということ?
川島騎手
まあ、そうですね。
細江
デビュー6年目でしたよね。
父であり、師匠でもある川島正行調教師には色んな思いがあると思いますけど、いかがですか?
川島騎手
正直もっと長生きして欲しかったです。まだまだ居て欲しかったですよね。
高橋騎手
あまりにも亡くなられたのが早いなって、正直思いますね。
細江
船橋競馬の馬がなぜ強いのかという点でも川島正行調教師の功績は大きいですね。
川島騎手
そうですね。父の遺したものは大きいと思います。
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