2023.6.14
船橋ジョッキーズレポート
vol.10
スペシャルコンテンツ
- 庄司騎手
-
頑張った甲斐がありました。
- 細江
-
やればできる(笑)
- 庄司騎手
-
あの時くらいです、真剣に勉強したのは。
- 細江
-
庄司騎手と川島騎手は那須の教養センターに行かれたけど、張田騎手は行ってないということですもんね。
- 張田騎手
-
そうです。
- 細江
-
那須の教養センターの話が出てきた時にすごいびっくりしたのが、朝の音楽の話って聞いたことあります?誰かが選曲した音楽が流れるっていう。
- 張田騎手
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へぇ、そんなのあるんですか。
- 川島騎手
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起床の合図で音楽が流れるんですよ。その時の流行りの音楽が。
- 細江
-
西野カナさんの「会いたくて会いたくて」とかが朝になると(笑)
- 庄司騎手
-
その歌が本当に嫌いになります。起きなきゃいけないっていう。
- 一同
-
(笑)
- 細江
-
やっぱり、“競馬学校あるある“なんだ(笑)
- 細江
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では続いて、これまでの騎手生活の中で、自分自身の中で自分を変えてくれたとか、教えてくれたとか色々経験させてくれたという馬を教えていただけますか?
- 張田騎手
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カジノフォンテンですね。
- 細江
-
川島騎手が最初乗ってましたよね?
- 川島騎手
-
はい、新馬戦を勝たせてもらいました。
- 細江
-
張田騎手は東京ダービーの後からのコンビでしたもんね。
印象的だったのが、東京大賞典2着(2020年12月29日)の後のコメントでした…。
正直で真面目な方だと思いました。
- 張田騎手
-
あぁ、はい。自分でも何でそんなこと言ったんだろうって分からなくて。
その時ってまだ重賞慣れしてないっていうか、そんなことも拾われちゃうんだって思ってちょっとびっくりしましたね。
表向きに発信するためのものなのか、よくわからなくって。
僕もちょっと悔しくて突然出た言葉だったので、ちゃんと覚えてないんですよね。
- 細江
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でも、みんなは9番人気で良いレースをしての2着で十分って思う方がすごく多かったと思うんですけど、ご自身の中では?
- 張田騎手
-
「タラれば」って言ったらこの世界キリが無いんですけど、本当に悔しかったですね。
もっと直す所がいっぱいあったなって。
ペースとか仕掛け所とかじゃなくて、ステッキワークとか追い方とか、もっとかっこよくも出来たし、成績だけ見れば人気の割にって思うんですけどね、本当に悔しかったですね。
- 細江
-
そこから自分はどうしようっていう風にすごく考える時間になったんじゃないですか?
- 張田騎手
-
そうですね、本当にみんな重賞とか勝つと眠れないとか言うんですけど、僕は勝った方が良く眠れて、負けるとやっぱり眠れなくて、負けた時の映像を何回も観ます。悔しいしか覚えてないですね。
- 細江
-
そこからの川崎記念(2021年1月27日)ですが、1枠1番から先手を奪って…。
- 張田騎手
-
あの時は内の馬場が止まらなかったりとか、上手くいき過ぎたなって。
- 細江
-
あの騎乗ぶりに、2着だった東京大賞典から川崎記念までに至るまでの期間、
張田騎手の想いの全てが集約されていた気がします。
- 張田騎手
-
そうですね。あの時は上手くいき過ぎて。
- 細江
-
今までにない位のガッツポーズでしたもんね。
- 張田騎手
-
そうですね。御神本さんみたいにスマートなガッツポーズが出来なくて毎回。
いつも“ああしよう”とか思ってるのと違うのが出るんですよ(笑)
だから同じガッツポーズって出来ないなぁって思っていて自分は。
そんな余裕も無いっていうか。嬉しくて勝手に出ちゃいます。
- 細江
-
でもあの時のガッツポーズかっこよかったですよね。
- 張田騎手
-
多分またやれって言われても出来ないですね。
- 細江
-
その後のレースの中で、全てが整ったというレースは?
- 張田騎手
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かしわ記念(2021年5月5日)です。川崎記念の時はトントン拍子に行って良いレースだったなって思うんですけど、あの馬と一緒に走って一番良いレースだったなって思うのは、かしわ記念でしたね。
あれも運がいいって言われればそれまでなんですけど、勝ちに行ったなっていうレースでしたね。
- 細江
-
カジノフォンテンって自分のペース、リズムでっていうのが強いタイプなのかなって思っていたんです。でもあの時は前半押さえるところもあって、そして動きに行って。そのあたり馬自身もすごい成長してるのかなって見受けられたんです。
- 張田騎手
-
そうですね。馬のメンタル的にも、馬が勝ちに行きたいっていうのが、しっかり伝わって来たなって思いました。
- 細江
-
だから3コーナー過ぎからでも自信をもった形で?
- 張田騎手
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あれだけコンビを組ませてもらって、あの馬の良いところが、本当に強い所が出たなっていうレースでしたね。狙い通りで上手くいったなと。
- 細江
-
フリオーソの厩務員さん(波多野敬二厩務員)だったかと思いますけど、やっぱり人力がすごいっていう気もしますが…。
- 張田騎手
-
そうですね、人馬ともに鍛えられたというか…。
こんな事言ったら本当に申し訳ないんですけど、馬も人もそこまでのレベルではなかったんです。本当によく叩き上げてくれたなぁと思って。
どっちも根性無かったので。
- 細江
-
えー!?解説して川島騎手(笑)
- 川島騎手
-
カジノフォンテンはJRAでデビュー出来ないって言われて入厩してきて、能力試験の前なんか前運動、乗り運動、上がり運動もして、仕上げて行って。
- 細江
-
そうなんだ。それが出来ないっていうのは体が大きいから脚元の事でとか?
- 川島騎手
-
大きい馬で緩さが大分ある馬でしたが、JRAでものにならなかったのは何でだろうって感じで僕は思ってました。力のある馬だなとは思っていたんですけど、ただ交流GIを勝つほどの馬になるとは思っていなかったです。
- 細江
-
結局、馬体重だって30㎏以上増えたもんね。やっぱり手掛ける人によってこれだけ変わっていくのかっていう…。馬も変わる、だから“俺も変わらなきゃ”みたいな感じですか?
- 張田騎手
-
そうなんですよね。
今はコンビ解消してますけど、あの馬に相応しい乗り役にならないとって。
- 細江
-
素敵。
- 張田騎手
-
とは思っています。それまで意識が低かったって言われたら、確かになって思う所もあります。
それまでは馬が好きで楽しく乗りたいっていうのが大きかったんですけど、その後からは責任とか、成績とかも少しこだわる様になりました。
- 細江
-
だってインタビューのコメントもどんどん変わってきてるなっていう印象があって、傍から見ていてすごい馬と共にって感じました。
で、庄司騎手は見ていていかがでしたか?
- 庄司騎手
-
たぶんあのコンビで成長して行ったんだと思います。
- 細江
-
四六時中頭から離れないんだ?
- 張田騎手
-
本当に。
- 川島騎手
-
厩務員さんからのプレッシャーもかなり強かったんだと思います。
- 細江
-
あっそう!?
- 張田騎手
-
1レース1レースすごいプレッシャーのかけ方するんですよ。
- 細江
-
厩務員さんが?
- 張田騎手
-
僕が初めて重賞を勝たせてもらった京成盃グランドマイラーズがカジノフォンテンなんですけど、その日が水曜日なんです。
月曜と火曜で10鞍位乗ったんですけど、月曜が地元で0勝だったんです。
それで翌日に厩務員さんと一緒に乗り運動していたら、“今日他の馬で勝てなかったら明日(重賞)は休め、もう乗るな”って。
- 細江
-
えぇ!?
- 張田騎手
-
これは何としても勝たなきゃってなって。まぁ火曜日に勝ったからよかったんですけど、すごいプレッシャーのかけ方してくるんですよ。
- 細江
-
昔からそうなの、その方は?
- 張田騎手
-
俺には特別?(笑)
- 細江
-
ご実家が牧場の方でしたっけ?
- 張田騎手
-
波多野さんは元々サラリーマンで、脱サラしてホッカイドウ競馬入って。
- 細江
-
そのプレッシャーのかけ方は以前から?川島厩舎の時から?
- 川島騎手
-
フリオーソにしろカジノフォンテンにしろ、ああいう特別な馬には、何て言うか、人生をかけていたというか、そこまでよく仕事出来るなってくらい仕事してたから。
- 細江
-
その費やし方を見てるから余計にね。
- 川島騎手
-
仕事に対しての思いが、特に名馬に対する思いが強い分やっぱり。
- 細江
-
そのプレッシャーを感じながら一戦一戦…。
- 張田騎手
-
そうですね。今までにないプレッシャーのかけられ方をされましたけど、逆にそれがなかったら今の僕はないなと。
張田先生にも普段から感謝していますけど、きっかけでいうと波多野さんなのかな。
- 細江
-
庄司騎手はいかがですか?
デビューは上山競馬場から移籍された後、馬や人との出会いだったり、調教の仕方など違いもすごく分かると思うんですよね。
そのあたりとか教えていただきたいなと思います。
- 庄司騎手
-
一番最初に“この馬なんか違うな”って思った馬はミツアキタービンです。
あの馬が一番最初にすごい馬だなって思いました。
新馬戦に乗せてもらって負けたんですけど、あの馬に乗ってから、しばらく何ていうか、ミツアキタービンを基準にして比べたりしてました。
結構調教とかで良い馬に乗せてもらっていて、最近ではスマイルウィは成長していて良い馬だなと思います。
- 細江
-
色々あると思うんですけど、庄司騎手が思う良い馬の要素とは?
- 庄司騎手
-
どうですかね…。背中が大したことなくても早い馬は早いし、一概には言えないですけど、15年くらい前にコアレスデジタルっていう馬がいたんです。JRAでタイムオーバーになってこっちに来て、その時に調教乗ってたんですけど、追い切りの時の沈み方が凄くて。
- 川島騎手
-
良い馬ってギャロップ行くと沈みますよね。
- 庄司騎手
-
本当に走る馬ってスイッチがありますよ、普段見せない様な。
- 細江
-
スイッチ、わかります。これだけ多くの馬が船橋で活躍したり、立て直せる要因って何でしょう?
中央である程度のところまでいったら、その後、頭打ちになって成績が上がらない馬が転入後、ガラッと変わるじゃないですか。
馬体重にしても体付きにしても成績にしても…。あと長く現役を続けられることも。
- 庄司騎手
-
正直なところ、馬の質は高いと思います。
でも、特別調教とかで他と違うってことはないと思うんですけどね。
- 川島騎手
-
他の競馬場へ行くと厩務員さんが乗ったり、調教してることが多いんですけど、船橋はジョッキーが調教乗っているんで。
- 細江
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なるほど。ちなみに今日は皆さん何頭乗りました?
- 張田騎手
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僕は…何頭乗りましたっけ?
- 細江
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え~、なんで聞くの?(笑)
- 張田騎手
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僕は5頭位しか乗ってないですね。
- 川島騎手
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今日は10頭くらいしか乗ってないです。
- 細江
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10頭で「くらいしか」でしょ?すごい。
- 張田騎手
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庄司騎手はどれくらい?
- 庄司騎手
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たぶん今日は13頭くらい
- 川島騎手
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開催前だから。
- 細江
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少ない方ということなんですね。
- 庄司騎手
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でも慣れって怖いもんで、いつも17、8頭乗っていて、それが12、3頭位しか乗らないとすごく楽に感じるんですよ(笑)
- 細江
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あと少し暖かくなってきたのも関係ある?
- 庄司騎手
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それはありますね。
- 細江
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先ほど、厩務員の波多野さんのお話もありましたけど、船橋の強さの秘訣は結局“人の力”なんでしょうね。
- 川島騎手
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そうですね。特に厩務員さんの腕かなと。
- 張田騎手
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他の場の厩務員さんがどうかは分からないですし、同じ馬を他場に行かせてみないと分からないですけど。