2023.2.6
船橋ジョッキーズレポート
vol.4
スペシャルコンテンツ
- 細江
-
皆さんそれぞれ騎手を目指していくわけですが、競馬学校時代はどうでしたか?
- 本橋騎手
-
楽しかった記憶しかないですね。
- 細江
-
すごいですね!(驚き)
- 本橋騎手
-
キツかったのは冬の訓練だけですね。
僕が入学した時は同年代がいっぱいいたので毎日修学旅行みたいな感じで。
- 細江
-
そうなんですね。本田騎手はいかがですか?
- 本田騎手
-
苦痛でしたね。
- 細江
-
やっぱり同じ環境でも違うんですね(笑)
何が一番苦痛でした?
- 本田騎手
-
とにかく外に出たい、あと食べたいものが食べられないのが苦痛でした。
ホームシックとかは無かったですけど。
- 細江
-
食事は出されるものだけですものね。お菓子もダメだったんじゃない?
- 本田騎手
-
お菓子は大丈夫だったんですけど決められた量でした。
- 細江
-
篠谷騎手はどうでした?
- 篠谷騎手
-
謹慎はしちゃいけないですね。
- 細江
-
いっぱい悪いことしたんだ!(笑)
- 本田騎手
-
競馬場に来る前から問題児って噂は(笑)
- 本橋騎手
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元船橋のジョッキーで現在教官の江川(伸幸)さんも言ってました(笑)
- 細江
-
昔の写真みると可愛くて、何にも分かりませんっていう感じだけど、悪い事してたんだ?
- 篠谷騎手
-
寺子屋っていうのがあって、そこで謹慎しなくちゃいけなかったんです。
- 細江
-
そっか、そっか!
競馬学校の中で悪いことしたら、寺子屋に行きなさいってルールがNARの学校の中であるってことね。
- 篠谷騎手
-
だから実習生の頃が一番楽しかったです。
馬に乗れて、色んなことが出来るっていう感じですね。
- 本橋騎手
-
今のとこ、お前ろくでもねぇじゃん(笑)
-
(一同爆笑)
- 細江
-
でも、あっという間に通算100勝ですから凄いです。
- 細江
-
さて、本田騎手と本橋騎手はデビューから17年くらい経ちますよね?
ここまでを振り返ってターニングポイントってどこでしたか?
- 本橋騎手
-
そうですね、こいつ(篠谷騎手)のこと、色々偉そうに言ったんですけど、デビュー当時は僕の方が酷かったかもしれません。
- 細江
-
(本田騎手に) そうなの?
- 本田騎手
-
私生活というよりは競馬でですけど、ストイック過ぎて自分にイライラしてたかな。
- 細江
-
え、かっこいい表現ですね!
- 本田騎手
-
うまく乗れなかった自分にムカつくみたいな。
- 細江
-
完璧主義者なんですね。
- 本橋騎手
-
そういう所はあるかもしれないですね。
それで矢野先生とも相談して、デビュー2年目から高知に修行に行かせてもらったんです。
- 細江
-
デビューして常にイライラして葛藤があった中で、ずっと高知で1年間頑張ろうと思ったのはどうしてだったんですか?
- 本橋騎手
-
雑賀(正光)先生がすごい可愛がってくれて、最初は半年予定だったんですけど、まだ変わりきってなかったので、もう半年延長したいですって先生にお願いしました。
- 細江
-
その若さでよく気づきましたよね?
- 本橋騎手
-
でも帰って来てからも悪い所が出ることはありましたけど、まー君(本田騎手)の存在が大きかったです。いつも一緒にいてくれましたし、イラッとした時でもまー君に話せる環境があったから、だんだん落ち着いてきました。
- 細江
-
女房みたいだね~!
- 本田騎手
-
最初はそんなに仲良くはなかったんですよ。
厩舎が離れていたので接点がそんなになかったし。
いつからかな?
- 本橋騎手
-
確か米谷(康秀)先生に可愛い後輩を作ればって。
- 細江
-
素敵なお話~!
- 本田騎手
-
米谷さんは僕のことを可愛がってくれた先輩なんですけど、「正重も後輩を可愛がった方がいいよ」って言われて、「じゃ孝太しかいないですね」って。
それから、毎日のようにごはんを食べに行くようになったんですよ。
- 細江
-
相談できる先輩の存在は大きいですか?
- 本橋騎手
-
半年しか違わないんですけど本当に存在が大きいです。
- 細江
-
先輩だけど呼び方はまー君なんですね(笑)
- 本橋騎手
-
まー君って呼ぶようになったのは、元々最初は本田先輩って携帯に登録してたんです。
それがいつの日か勝手に”まー君”に変えられて。
- 細江
-
面白い(笑)ラブラブですね~!
本橋騎手は高知での経験とまー君の存在がターニングポイントですね。
そんなまー君ですが、今年節目の地方競馬通算1000勝を達成しました。デビューからは苦しい時期もあったと思いますが、近年の活躍は目を見張るものがあります。振り返ってどうですか?
- 本田騎手
-
自分で変えたっていうところは全くないんですけど、運がよかったんです。
ヒガシウィルウィンに関してもただ運が良かっただけ。
- 細江
-
東京ダービーを制した森泰斗騎手が怪我をされてしまい、ジャパンダートダービーは本田騎手が手綱を取ることになりました。相当なプレッシャーがあったのでは?
- 本田騎手
-
そうですね、それなりにプレッシャーは感じていましたけど、一番緊張したのはレースのゲート裏までです。
- 細江
-
レースの全てが完璧でしたよね。
道中の運びから3,4コーナーでの運び、さらに直線で外に出してからも。
どれか一つでも間違っていたら2着もあり得るレースだったと思うんですけど。
- 本田騎手
-
運が良かったです。
- 細江
-
いやいや(笑)
あの騎乗は競馬ファンに”本田正重”の存在を強く印象付けた最高の結果だと思います。
みんな祝ってくれたでしょ?
- 本田騎手
-
あの日の夜は、もうベロベロでした(笑)
当時、佐藤賢二厩舎の助手をしていた米谷さんに祝ってもらいました。
- 細江
-
本田騎手はターニングポイントとなったジャパンダートダービー、本橋騎手は東京ダービー(2勝)を勝利したダービージョッキーです。
やはりダービーというのは格別ですか?
- 本橋騎手
-
1回目を勝たせてもらった時は、実感というかダービージョッキーの凄さっていうのはわかっていなかったですね。
あれから10年ぶりでしたけど、その間は出走できなかったり、人気の馬に乗せてもらってもスタートで包まれちゃったり。
無事にレースで走れるだけでもダービーはすごいんだなって思ってたところで、今年カイルに騎乗して勝てたので、もう格別でしたね。
- 細江
-
勝利騎手インタビューで本橋騎手を見てていつも思うのは、自分の事よりもその前に騎乗していた騎手だったり厩舎関係者を称えるコメントを出されていて感心しています。
そのあたりがみんなに好かれるんだろうなって。
- 本橋騎手
-
ちょっと意識はしてます(笑)
でも、僕らはインタビューがありますけど、厩務員さんはないんです。
一番馬と携わって、一番大変な思いをしているのは厩務員さんなので、それを伝えたいです。
- 細江
-
一頭にかける時間の長さっていうのは半端ないですもんね。
- 本田騎手
-
俺も今度からそうしよ!(←インタビューのこと)
-
(一同爆笑)
- 細江
-
そんな先輩の話を聞いてどうですか?(笑)
- 篠谷騎手
-
僕もそうします!
- 細江
-
篠谷騎手はまだデビュー3年目ですが、いかがですか?
- 篠谷騎手
-
ターニングポイントというよりも、レースではいつも“どうしたらいいのか”って日々葛藤しています。
- 細江
-
私生活は大丈夫なの?(笑)
- 篠谷騎手
-
そうですね、私生活もどうしたらいいのか。
- 細江
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デビューしてすぐに先生(佐藤賢二氏)がお亡くなりになって戸惑ったでしょう?
- 篠谷騎手
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そうですね。実感が湧かなかったですね。
アクアリーブルが重賞勝ちした祝勝会の二日後の訃報だったので、言葉が出なかったです。
- 細江
-
その後、何度か厩舎変更もあって現在の山田厩舎で日々頑張っているわけですね。
- 篠谷騎手
-
山田(信大)先生には本当に面倒を見てもらっています。僕の生活態度が悪くてすごく迷惑をかけてると思うんですけど、それでも勝てる馬に乗せてもらっていて感謝しています。
そして、生前に佐藤賢二先生からよく注意された言葉を思い出しながら今は励んでいます。
まあ、生活態度はお勉強中ですけど。
- 細江
-
きっと見守って下さってると思うし、佐藤賢二先生あってこその今だと思うので、これからも大事に競馬と向き合っていかないといけませんね。
- 本橋騎手
-
最後の弟子がこんなんでいいのかなって(笑)
- 細江
-
(笑)
- 細江
-
篠谷騎手といえば、今年4月に早くも地方競馬通算勝利100勝を達成しました。
- 篠谷騎手
-
関係者の皆様のおかげです。
- 細江
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すでに減量も取れて、そうなると騎乗数とか変化もあると思います。
これまでとの違いは感じますか?
- 篠谷騎手
-
今まではゲートを出て考えていた位置を取れたのに、減量が取れたことで難しくなった気がします。ずっと同じ馬に乗っていたらそんな印象があります。
- 細江
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やっぱり1キロの差って影響あるんでしょうね。
- 篠谷騎手
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3キロから2キロになった時はそんなに変わらなかったんですけど、1になってからは、違うかもって思います。
- 本橋騎手
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一回相談されたことがあるんですけど、そこは難しいですよね。
減量が取れると反応しづらくなるじゃないですか。
もともと外からサーっと行っちゃうような競馬をしてたので、タメる競馬も覚えないと。
最近は注意してやってるとは思いますけどね。
- 細江
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タメることに意識がいっちゃうわけね。
それでも僅か2年で100勝したわけですから凄いことです。