2023.3.8
船橋ジョッキーズレポート
vol.7
スペシャルコンテンツ
- 細江
- 坂本先生はどんな方ですか。
- 濱田騎手
-
面倒見は良い方だと思います。いざとなったらすごく頼りになりますよ。
ただ、ちゃんと関係を築いていないと理解できないかもしれません（笑） - 細江
-
どんな方か気になりますが（笑）
そして、いよいよデビューを迎えるわけですが、どんな心境でしたか？ - 澤田騎手
- 僕はデビュー戦でやめようと思いましたね。
- 細江
- 勘弁してよ（笑）どうしてですか？
- 澤田騎手
- 緊張とかはなかったんですけど、スタートしてから周りとのスピードの違いっていうか、テンに置かれてしまって愕然として、全然自分の力じゃ通用しないなって思いました。
- 細江
- 自分が乗った馬の能力は関係なかった？
- 澤田騎手
- もう自分の対応力の無さからです。学校ではそれなりについていけていたと思うんですけど、初めて経験豊富なプロ相手に乗ったら、圧倒されたというかこれはムリだわって。
- 細江
- でも翌日には初勝利できましたよね？
- 澤田騎手
-
そうですね。確かに次の日に勝たせてもらいましたけど、乗り役としては未熟で、直線で駿さん（石崎騎手）の邪魔をしてしまってホロ苦い初勝利でしたね。
ただ、父親の馬で初勝利できたので嬉しい気持ちも半分ありました。 - 細江
-
そして、そのお父様の馬で盛岡での重賞挑戦ということになりました。
他場に行ける喜びはありませんでしたか？ - 澤田騎手
-
その時は正直あまり喜びを感じていなかったかもしれないですね。
今思えばデビューしてすぐに他場へ行けたのは良い経験だったなと思います。
あの時、同じレースに出走するアーサルビーに騎乗する裕太さん（佐藤裕太調教師）とその馬主さん達と一緒に行ったんですけど、その馬主さんは今も自分に乗せて下さっているんです。 - 細江
- まさに繋がりですね。
- 澤田騎手
- これからも繋がりは大事にしていきたいと思います。
- 細江
- お父様とそういう話はするの？
- 澤田騎手
-
そういう話しかしないですね。競馬というか仕事の話しかしないです。
“ここにこういう馬が入ってるから乗っておいてくれな”って言われて、“はいわかりました！”みたいな感じです。 - 細江
- 素敵ですね。
- 澤田騎手
-
でも普段の会話は何もないです。
電話が掛かってきても2、3回に1回しか掛け直さないです。
男同士だからなのかもしれないですけど。 - 細江
- 男同士だとそういうものなのかしらね。
- 澤田騎手
- いつだったか骨折したんですけど、その時も医者が骨盤が折れてるかもしれないみたいに騒ぎ出しちゃって、骨盤だと手術が必要だからっていうことで大きい病院に運ばれたんです。それで手術になるかもしれないから親を呼ぶように言われて、父親が来てくれたんですけどその時の第一声が“お前（落馬した後の乗り替わりで）次のレース勝たれたぞ！”って。
- 細江
- 心配よりもそっちなんだ（笑）
- 澤田騎手
- あとは“誰々のところに馬を預けておいたから時間ある時に乗っといてくれな”とか。
- 細江
-
お父様、面白い方ね。
そして、もう一つお聞きしたいのがスマートバベルとの東京プリンセス賞制覇ですけど。 - 澤田騎手
- ゲートが悪かったんですけど、サウス（父サウスヴィグラス）特有なのか、スピード感があって本当に良い馬だなと言うのが第一印象でした。
- 細江
- 東京プリンセス賞ではゲートはどうだったんですか？
- 澤田騎手
- 少し怪しいところはありましたけど大丈夫でした。 ただ当日の朝に、僕が他の馬でひっくり返っちゃって。
- 細江
- 調教中？
- 澤田騎手
- はい。それで2箇所ヒビが入ってて。
- 細江
- 知ってました？
- 濱田騎手
- 知らなかったです。
- 澤田騎手
-
だけど勝てるような気がして、厩務員さんに事情を説明した後に先生に相談して“乗りたいです！”って言ったら乗せてもらえたんです。あの時は痛み止めを飲んで臨みました。
レースでは3コーナーくらいから勝つ気はしてましたよ。 - 細江
- 手応えが一頭だけ違いましたよね。
- 澤田騎手
- そうですね。桜花賞を勝った馬が逃げていたんですけど、ちょっとモタれたんですよ。
- 細江
- そこのスペースが空くのも分かってたんだ？
- 澤田騎手
- はい。だから空いたところを突くだけと思ってずっとじっとしてました。
- 細江
- 思った通りだったんですね。
- 澤田騎手
-
怖いなと思っていた駿さんの馬が抜け出して来ていたので、ちょっと寄せてあとは頑張ってくれって。距離が持つか未知数だったので道中はなるべく邪魔しないように心がけましたね。
そしてレースが終わって、坂本先生や川島先生たちに“おめでとう”って握手してもらった時に初めて実感しました。
でも、ゴールした後はもう何も覚えていないです。痛さの方が勝っちゃって。 - 細江
-
怪我をしていたようには見えない綺麗な姿勢での追い方でしたね。
大きな舞台での勝利でしたから濱田騎手はお祝いしてあげたんでしょ？ - 濱田騎手
- してないです。
- 細江
- “ご飯食べました”とかないんだ（笑）
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